興南の春夏連覇が、鮮明に見えてきた。
絶対エース・島袋投手が、まさかの不調。
毎回ジャストミートされ、序盤にして5-0と差が開く。
一方、打線は――
報徳・大西投手のピッチングに打ちあぐんでいたが、
中盤になって繋がり始め、やがて爆発し、逆転する。
不調のエースを、打棒と機動力が盛り立てて、
総合力で、相手を圧倒してゆく様子が、圧巻だった。
昔、そういうチームがあった。
1976年(私が中3の頃だが)、春の選抜で優勝した崇徳高校だ。
投手が不調の時は、打撃戦で打ち勝ち、
好投手相手に打線が沈む時は、
エース黒田投手が、1安打で完封して見せたりした。
夏の県予選では、最大のライバル・広島商を、
なんとノーヒットノーランで破って、甲子園出場。
春夏連覇の期待が、今年と同じように高まる中、
怪物サッシー・酒井投手を擁する長崎海星高校と、
見事な投手戦を繰り広げた結果、1-0で敗れ、
三回戦で、姿を消してしまった。
キャプテンは、現在広島カープの山崎二軍監督。
黒田・山崎・応武(早稲田大監督)・小川と、
4人ものドラフト指名者を生んだ、大型チームだった。
あの投手力・攻撃力共に並外れていた、34年前の大型チームに、
今年の興南は、似ていると思う。
いや、プラスαの総合力を考えれば、'76崇徳以上の底力を、
今年の興南は、持っていると思う。
興南の校歌にある『高邁自主(こうまいじしゅ)の鐘』が、
高らかに鳴り響くことを、祈っている。